レポートからの抜粋

ここでは,学生から提出されたレポートの中から特によく書けていると思われるものを紹介する.なお,掲載に当たっては文言等に若干の修正を施した.


T.K.君のレポートから

<考察>

  グラフよりボールを斜方投射する場合、空気抵抗が大きく影響することが分かる。初速度を与えた直後は三つのボールは同じ軌道を描くが、最高点に達する部分を見比べて見ると明らかに大きな差が出てきていることが分かる。特にディンプルがないゴルフボールと空気抵抗がないゴルフボールの飛距離の差が大きいことが分かる。その飛距離の値は約1.5倍違う。空気抵抗を考慮するかしないかで、これだけ大きな差が生じるのであるから、これにゴルフボールの回転を加えたら更に現実のゴルフボールとこのグラフで扱ったゴルフボールとの間に大きな誤差が生まれてくることが容易に想像できるであろう。

  次に、ディンプルのある場合のゴルフボールとない場合のゴルフボールのグラフを見比べてみる。すると、ディンプルがある場合の方がディンプルがない場合よりも約1.4倍遠くに飛んでいることが分かる。

  このように現実の世界では、空気抵抗というものが様々なものに影響を与えているので、私達はそれをよく踏まえて様々な事象について考えなければならない。
 

<授業の感想>

  私はパソコンの扱い方に関してまったくの初心者であったので、とても不安でした。しかし、授業を受けるうちにパソコンを使うことによって人間の手作業だけでは困難なことも、簡単に、そして明確に求めることが出来るということがとても便利であるということに気付きました。そして、先生がいわれたようにパソコンが使えることよりも、パソコンを使って何が出来るかということの方が大切であるということが分かったような気がします。そして、私達の身の周りのことにはまだ分からないことが沢山あり、まだまだ解明すべき興味あることが転がっていることが分かりました。


M.K.君のレポートから

<考察>

  今回の授業でゴルフボールのディンプルが空気抵抗のある場合では飛距離に大きな影響を与えることがわかった。ディンプルについて調べるのに現在販売されているゴルフボールを調べたところディンプルはみな同じではないことが分かってきた。ディンプル数、ディンプル配列、ディンプル形状、など違いがある。ディンプル数では392個、420個、432個、452個などディンプル配列は20面体配列、8面体配列など、ディンプル形状はコーン型、2重ディンプル、ナベ底相似型2重ディンプル、U型2重ディンプル、フラット2重ディンプルといった種類があった。ボールには大別して2種類のボールがある。物理的な根拠は分からないが、ディスタンスボール(飛ぶボール)と言われているボールにはディンプル数は多い傾向にあった。またスピンボール(スピンがかかり地面に止るボール)と言われているボールにはディンプル数は前者よりは少ない傾向にあり、ディンプル形状は2重ディンプル系がほとんどで比較的ディンプルが深く、大きかった。実際に自分でボールを打ってみてもその違いは明らかだった。

  また興味本位だが今回のプログラムを使って自分のデータを入力してみた。ヘッドスピード50m毎秒、ボール初速70m毎秒(ゴルフショップにて測定してもらいました)。その結果45度で打ち出すと、以下の上図のような結果がでた。また実際の打ち出し角で入力してみると下図のような結果になった。またゴルフショップにて測定し、ゴルフ場にても試してみた330m(約301y)。その結果このプログラムを使った場合は45度だと高く上がり飛距離もでる。12度だと低く出て飛距離が出ない(157y)。といった結果だった。ゴルフショップでは初速70m毎秒、打ち出し角12度、で飛距離280(y)という結果だった。またゴルフ場で打ってみると270(y)であった。普通上図のような弾道だと一般的(ゴルフ用語)にテンプラとよびあまり飛ばないものであり、実際の弾道は最初低く出て徐々に上昇していくものである。ということはボールにスピンが掛かることによって生じる揚力を考えると、理想的弾道の打ち出し角は抵抗が無いときと比較するとだいぶ小さく、その回転による揚力の影響はかなり大きいと思われる。またそのときのディンプルの影響も、商品を調べ試したところ大いに影響することが分かった。これらの結果から考えると、今回のプログラムはディンプルを考えた飛距離ということではより現実的になったが実際のデータ(回転を含む)との差はまだだいぶあることが分かった。だがゴルフボールにおいて一番重要なのがディンプルであることもよく分かった。飛距離にしろスピンにしてもディンプルの及ぼす影響の大きさは予想よりも大きいものだった。
 
 

(a) 打ち出し角45度の場合の軌道
(b) 打ち出し角12度の場合の軌道

<感想>

  私はゴルフ部ということもあって今回の内容は実に興味深かった。今までは道具であるボールについて飛ぶボールなのか止めるボールなのかと言った大まかにしか考えていなかったが、今回のことでいろいろ新しい知識ができた。今回の内容とは関係なかったがボールの材質、内部構造、なども調べてみたがこちらもいろいろな種類があった。また新旧のボールを比較し調べるとボールの進化の過程が分かり大変面白かった。しかし今回調べられたのは結果論からの考えが大きく、物理的な原因はあまりわからなかった。これからの勉強をもとに、より自然に近い状況をシミュレーションできるようになりたいと思った。とても面白く興味ある内容だった。

<最大投射角>
  ディンプルのある場合、最大投射角は約43.9度になった。ディンプルの無い場合、最大投射角は41度だった。この結果、ディンプルのある場合、つまり抵抗係数が小さいほうが最大投射角が大きくなる。


A.S.さんのレポートから

<考察>

  ゴルフボールのディンプルは飛距離を出すためには必要不可欠である。ディンプルがあるボールは、ディンプルのないツルツルのボールと比べて空気抵抗がかなり少ないからだ。また、ディンプルの形、数、配列、大きさ、その組み合わせなどによっても飛距離は変わってくるだろう。

  ディンプルの役目は野球ボールの縫い目も同じである。縫い目がなければ、今回のシミュレーションの結果からみてホームランを打つのは大変なことだろう。

<感想>

  パソコンを使ってのシミュレーションはとてもおもしろかった。投射角や初速度にいろいろな数値を代入して家族に見せて遊んでいた。自分が代入した数値に対して、きちんとグラフになってあらわれるところになぜか喜びを感じた。パソコンを持ってくるのは重くて大変だったけれど、授業はとても楽しかったし、今後にとても役立つ授業だった。

  関係ない話だけど、インターネットで調べたら、ゴルフボールのディンプルは昔、ボールが高価だった頃、1つのボールを使い続けていくうちにボールにキズができ、そのキズありボールのほうがよく飛ぶことから考えだされたそうだ。

<最大投射角>

(1)ディンプルありの場合
単位質量あたりの抵抗係数 k/m:0.0013293504
投射角:40°〜50°,55°
初速度:40m/s

(2)ディンプルなしの場合
単位質量あたりの抵抗係数 k/m:0.005908224
投射角:40°〜50°,55°
初速度:40m/s

下の表から最大投射角は、ディンプルありの場合が 45°、ディンプルなしの場合が 41°となることがわかる。
 
 

打ち出し角度による飛距離の変化
角度
(deg.)
ディンプルありの飛距離(m)
ディンプルなしの飛距離(m)
40
139.318765
98.476796
41
139.817452
98.754605
42
140.196296
98.200283
43
140.453954
98.325293
44
140.589111
97.647849
45
140.600481
97.617914
46
140.486815
97.500685
47
140.246871
97.295671
48
139.879464
96.352680
49
138.355184
95.988358
50
137.732317
94.915574
55
130.914434
89.206946



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